「学びの旅」大崎町にリサイクル x SDGs の取り組みを学びに行ってきました。その2 有機工場

有機工場。ここが、いきなり訪れたこの旅のクライマックスでした。
この有機工場が、リサイクル率 82.3 % を誇る大崎町のゴミのうち、実に 62 % を処理している工場なのです!(ちなみにリサイクル率、というのは、運び込まれたゴミの重量のうち、どのくらいがリサイクルにまわされているかの割合のこと。)

その秘密をご紹介くださったのは、上野さん、宮原さんのお二方。

ここ有機工場で集めているのは、生ゴミと草木ゴミ。
そのうち生ゴミは週 3 回、このバケツで回収します。

うん。普通のバケツです。

集めた生ゴミはバケツからこの機械に投入されます。

投入された生ゴミはあっちに送られ、粉砕されて下に落ちてきます。

この粉砕機、実は特注品…なんかではなく、焼酎づくりのためにサツマイモを粉砕する機械とのこと。
粉砕は「ちょうどいい大きさ」。あまり細かくしすぎると水分がでてべちゃべちゃになってしまうみたい。
こうしてちょうどよく粉砕された生ゴミを、あっちで別の機械によって粉砕された草木ゴミと一緒に、混ぜます。

これが草木ゴミの粉砕したもの。
生ゴミとこれを重量比で 1:1 くらいで混ぜます。
そこに、黄色いタンクに入っている乳酸菌液をかけて混ぜます。

この乳酸菌がすごい。こいつのおかげで匂いが抑えられるとのこと!
そういえば、生ゴミを処理する施設なのに、マジで全く!臭くないんです!!

そして、混ぜたものを 2 週間(だったっけ?)混ぜながら置いておいたものがこちら。

美しい…!!

この立ち上る湯気は、発酵によるもの。その微生物が発する熱で 80 度を超えているとのこと!
こうして温度を上げることで、草木ゴミに入っていた植物の種も死んでしまいます。温度が上りきらないと堆肥として撒いたときに芽が出てしまうそう。発酵によってナマモノは分解され、高温で草木の種とか不要な微生物は死に、良いものだけが残り良い堆肥になるとのこと。

なんと美しい仕組み…!

ここにあるのが大崎町の約 3 日分。
置いておくと乾燥して水分や酸素がなくなって動きが鈍くなるので、生ゴミのバケツに残っていた汚水をかけたり、重機で攪拌して空気いれたりなど、微生物がうまく生きるように調整を続けます。

この白い糸状菌の働きで分解されてゆき、

やがて堆肥になってゆきます。

水をかけて空気をいれて、、という作業を続けてゆくと、もともと 20 トンあった生ゴミ+草木ゴミの山が、2 トンくらいにまで減ってくるとのこと。発酵によって温度が上がらなくなる = 分解が完全に終わるまで約 5 ヶ月。ついに完全に堆肥になります。そうなる前に畑に撒いてしまうと、生ゴミが残っているからハエがよってきてしまうとのこと。

堆肥になったものをこの機械でふるうと、生ゴミに混ざり込んでいた金属やプラスチックなどがでてきます。

スプーンとか包丁とか、流しの蓋なんかも!

こうして堆肥が製品化されたものが、こちら。

おかえり環ちゃん!

ここに袋詰めされている堆肥は、去年8月に回収した生ゴミ+草木ゴミが先ほどの過程を経て製品化されたもの。お値段は 15 キロで 300 円。安い!!軽トラ 1 台で 1500 円くらいとのこと。やすいーー!!
この工場では、この堆肥を使って野菜づくりも始めたとのこと!いいね!
生ゴミはもともと食べ物で、畑からきたもの。それが堆肥になって畑に帰る。おかえりー!!
循環…すてきや。

こちらは乳酸菌の培養槽。

原料はなんとその辺に生えてるヨモギと黒糖。
ヨモギを取りにいくのもこのお二人の仕事なのだとか。
ヨモギ取りもお仕事…なんか、いいな。笑

これまで見てきたように、こうやって本当にうまいこと自然の仕組みを使ってゴミを肥料に変えることで、生ゴミをリサイクルしているこの施設。何かものすごい事やってるのかと思ったら、拍子抜けするほどアナログで、すぐにでも島でやれそうな仕組みでした。しかもそれで町内のゴミの 62 %もの重量をリサイクルできている、というのが本当にすごい。

しかもさらに驚きだったのは、大崎町の 62 %の処理を普段、たったの 2 人で(日によっては 1 人で!)まわしているとのこと!!すげ…!!


このお二人がやっている堆肥作りは、言い換えるといかに微生物が活動しやすい状態をキープするかということ。
そこでつけられた別名が「いきものがかり」だって。いいね。笑

僕たちみたいな視察に対応したところでインセンティブがあるわけでもない。
しかも、時間がとられて作業が圧迫されるわけです。
なのに丁寧に楽しそうに説明してくださって…本当にカッコ良かった!

「12年連続リサイクルナンバーワン」の大崎町を担っている「いきものがかり」のお二人のお話、めっちゃ面白かったし感動しました。この二人にもっとスポット当たってほしいな。

それから、視察にきた人たちが、どんなアウトプットを出しているのか、というのは現場には全然伝わってこないとのこと。僕たちも学んで終わり、ということではなく、実践することで学んだ成果をお見せしたいですね。
ということで、まずは文章に残して宣言しておきます。

 

この仕組み、島でもやってみたいな〜、と思っていたら、たまたま友人から教えてもらえました。
なんと、竹には乳酸菌が居るみたい。竹を粉砕したら乳酸菌入りのチップになるので、生ゴミと混ぜて堆肥化することはできそう!早く試したいなー、と思ってます(まだやれてませんが…)

続く。

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