ウエディの硫黄島滞在記 5 「博士と過ごした半年間」

こんにちは、ウエディです。

僕が硫黄島でテント生活をしていた時、博士こと大岩根さんのご自宅は雨漏りだらけでした。

なので、雨が大敵。
雨の時は本棚の本たちが濡れないように、レジャーシートをかけたりして守っていました。

そんなある日、大岩根さんが
「今日はルーフィングを貼ろう!」
と嬉しそうに言いました。

ルーフィングってなんやろ?って思い、聞いてみると、雨漏りしないように水の侵入を防いでくれる防水シートのことでした。

大岩根さんのご友人の方と、その方のお父様と大岩根さん、僕の計四人で作業開始。

「上堂(僕の本名)も屋根に上って」と大岩根さんに言われたのですが、僕は高所恐怖症なのです。
それを伝えると嬉しそうにニヤニヤ笑ってました。僕だけ登らないわけにもいかず、登ることに。

最初はお手本のようなへっぴり腰でビビりながらルーフィングを屋根板に貼り付けていたのですが、いつの間にか夢中になって恐怖感が消えていました。

そのとき、ふと三重県にある遊園地のCMで言っていたセリフを思い出しました。
「できないことをやらなくちゃ」
なるほど、何事も挑戦しないと何もできないし、経験もできないんだなと一人で感動していました。

そして、完成!
この日から雨漏りが無くなりました。
ルーフィングを貼ってから最初の雨の日は大岩根さんはめっちゃ喜んでいました(笑)

屋根って見えないところに工夫されていることを初めて知りました。

雨漏りがしないように屋根に工夫されていたこと知らずに普段生活していること、自分も手伝わせてもらったことでその工夫を知ることができ、雨漏りしないことの感動を体験できました。

 

その後、6月に入り硫黄島に台風がやってきて、テント生活に終わりが訪れました。
一つの台風はテントでやり過ごしたのですが、次の台風は危ないからテントを引き上げなさいと言われました。

そのため、大岩根さんと同居開始!
凄まじい大雨でテントを乗せていた「すのこ」は水没していました。

もし、あのままテントで寝ていたら徐々に水に浸っていたんですね。
そして、気付けばすのこはいつの間にかにゃごろーの爪とぎ場になっていました。

にゃごろーとは大岩根邸に毎日エサをねだりにくるネコちゃんです。
最初のころはエサをもらいに来るだけで撫でさせてくれなかったのですが、徐々に甘えてくるように。

にゃごろーのことを大岩根さんは溺愛。

ある日のこと大岩根さんが網戸際の書斎で仕事をしていた時、いつも通りにゃごろーがミャオミャオと鳴いて、来たぞと合図。

いつもなら、こんな風に玄関でチョコンとお座りして待っているのですが、その日は違いました。

大岩根さんがテーブルからにゃごろーと呼びかけると、こんな風に網戸の方へ。

ここで説明しておきます。
大岩根邸の網戸には隙間があるんです。
完璧に封じられていないのです。

こんな風に可愛くこちらを覗いてくるにゃごろーを待たせておいて、
大岩根さんと台所の方へエサを準備しに行っているときでした。

網戸の方からミシミシと何やら不思議な音が、そして、気付いたときにはなぜかにゃごろーが家の中に。
えっ?と驚いていると、なぜかにゃごろーもビビっていて家中を走りまわっていました(笑)

二回ほど網戸と玄関を全力で往復していたので、玄関を開けてあげると一目散に逃げていきました。
でも、それに懲りずに毎日のようにエサを貰いに来ていました(笑)

大岩根邸にはしっかりした網戸が無いほかにも、色々無いものがあります。

一つ目エアコン。
エアコンがないので、夏場は暑かったのですが、窓を全開にして風通しを良くしていました。
エアコンがないから、窓を開ける。
すると、夜には虫の鳴き声や風に揺られる木や葉っぱの音、波の音が聞こえてとてもリラックスして休むことができました。

暑さに関しては不思議と徐々に、身体が慣れてくるんです。
ただし、上半身裸でないと耐えれませんでした。

基本的にこの格好で過ごします。何をしているのかと言いますと、朝六時に起きて上裸で掃除です。

無いもの二つ目、掃除機。
大岩根邸では箒と雑巾で掃除します。

箒で丁寧にゴミを集めて、外に掃き出し、そのあとを雑巾がけ。
学校の掃除の時間やサッカーの他校での試合の時のことを思い出しました。
来た時よりも美しくって言いながら、掃除してたなー。

 

三つ目は先ほども言ったようにしっかりした網戸が無いんです。。。
なので、夜に電気をつけていると大量の虫が。
蛾、セミ、クワガタ、コガネムシなどなど。

一番多いのはコガネムシです。
夜はいっぱい隙間から入ってきます。

入ってきた虫は捕まえて、外に出すのが毎晩の日課でした。
寝ているときには屋根裏でヤモリの運動会が(笑)
走ったり、飛び降りたり、最初は何事かと思いました。

 

四つ目、洗濯機。
洗濯機がないので、毎日手洗いです。
ある日、ジャージの長ズボンをいつもように洗っていました。
絞った時、何か硬いものが入っている気がしたのですが、気にせずもう一度絞ろうとした時のことです。
巨大なムカデがニョロっと出てきたときは流石に怖かったです。。。
その日から手洗いが少しトラウマに(笑)

 

最後に、炊飯器。
大岩根邸には炊飯器もありません。
そのため土鍋でご飯を炊きます。

最初は上手く炊けず、焦がしたり、火を止めるのが早かったり、失敗続きでした。
大岩根さんが教えてくださるアドバイスをもとにチャレンジし続けました。

「火の強さと香りと音に気を付ける」
吹き出し口に顔を近づけ、火の調整をして音と香りの変化に集中します。
グツグツいいはじめたら、火を弱めます。
グツグツという音から、パチパチという音に変わるタイミングがあることに気づきました。
そのタイミングから香りが徐々に香ばしくなります。美味しいお米の香りです!
成功しました!

それから、お米を炊くのが上達していき、
大岩根さんから正式に米炊き係に任命すると伝えられました。

 

う、う、

うまああああああああーい!!!

以上のように、大岩根さんのお家には普通のご家庭にはあるものがほとんどありません。

 

こういう生活をしながら思いました。

「便利ってなんだろう?」

今の世の中はスイッチ一つで色んなことが簡単にできてしまいます。
洗濯や掃除、ご飯を炊くことなど。
しかし、災害が起き、電気が止まれば、簡単にできていたことが簡単ではなくなってしまいます。

 

大岩根さんのお家での経験は万が一の場合の備えにもなるし、
なによりとても楽しかったです。

人によって生活の豊かさは異なります。
僕にとっての豊かな生活は自分の心が豊かな状態に保つことと気づきました。

便利な道具があまりない生活だからこそ、普段気付かない楽しさや幸せを発見できたことが心を豊かに保ってくれる一つの要素でした。あの時、この経験をしていて本当に良かったです。また、それが自分の経験としてこうして伝えられることがうれしいです。

 

今回は大岩根さんのお家での出来事について書きましたが、家以外の経験も楽しすぎて、調査を終えて帰る時期を何度も何度も後ろに延ばしました。

それぐらい楽しくて大好きな場所です。

 

コロナがおさまったら、早く行きたい!!!!!!!!

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