硫黄島キャンドル
2024年の秋に行われたジャンベ祭りで、このキャンドルに一目ぼれした私は、キャンドルに火をつける気もないくせに買ってしまいました。
3Dプリンターを使って作られたこの硫黄島は、実物のミニチュアではなく、高さを横の距離と比べて倍以上にし、地形を分かりやすくした作りとなっています。硫黄島の成り立ちを簡単に説明しますと、鬼界カルデラ噴火が起こる前、画面手前の硫黄岳と稲村岳はまだ存在しませんでした。そして、島の中央を走っている崖が「カルデラ壁」で、この壁の手前にあった山や大地は、噴火の時に海中に沈んでしまいました。その後、硫黄岳と稲村岳が誕生して、波に洗われていたカルデラ壁の大部分は地上となりました。
写真の硫黄島は、ミツロウでできています。
ミツロウとは、ミツバチの巣を形作っている物質です。働き蜂がはちみつを食べ、それを体内でミツロウに変えて、あのハニカム構造の巣を作り上げます。 ミツロウを作るためには、その10倍の原材料であるはちみつが必要と言われています。
ミツロウの主成分はワックスエステル(床に塗るワックスとは違います)という天然成分で、人間の肌にも含まれています。ワックスエステルには高い保湿力があり、化粧品にも使われています。
ミツロウの説明はここまでにして、次はこの硫黄島キャンドルを作ったさむさんのお話をします。
さむさんがなぜ硫黄島のキャンドルを作っているのか、ご本人に語っていただきましょう。
“僕の人生を変えてくれ、鹿児島に住むきっかけとなった硫黄島には、2017年第13期ジャンベ留学生として訪れて半年住みました。そこは見惚れる地形と山々、数色の海の色、漫画「火の国」に出てきそうな羽根の綺麗な孔雀に火山、その火山が作る温泉、アフリカの複雑なリズムを奏で踊る村民、そして総勢130人程が住むおとぎ話のような場所でした。留学中は好奇心に駆られてよく散策し、この土地の雄大さに見惚れていました。卒業した後は島への恩返しとしてジャンベを叩いて「この音を島へ届け!」なんて思っていましたが、僕の小さな手で出す音を移住先の日置市から島へ届かすなんて到底無理な話であり、肩を落として途方に暮れていました。その日の夜、明かりを落とした部屋でろうそくに火を灯し、島の想い出や思いに浸っていました。その時ですね、このろうそくが硫黄島の形をしていればジャンベの音も届くし、見る度に想い出もキープ出来て、途切れない硫黄島への思いが持てる!その時の閃きを元に数年後の去年2024年にようやく行動に移しました。
それに元々旅行先のなんとも言えないデザインのお土産が好きで、例えば小学生の頃友達の兄貴の部屋にありそうな、修学旅行で買った土地の名前が書いてある提灯や三角のフラッグ、五重塔、鹿のなにかとか・・・。こういうものって哀愁溢れてますよね(笑)。 それらはいつかかなりの確率で捨てる。捨てるんだったら捨てる前に活用出来て役目を終えられたら良いな、と言う面でもお土産感溢れるろうそく作ってます。
今思えばジャンベの音が届かなくて途方に暮れていたのはかなり冗談めいた話ですけど、いずれ実現しようと思いそして硫黄島きっかけで移住先の様々なご縁でミツロウに出会い、硫黄島を立体的なろうそくにする事に至りました。
原材料のミツロウにもこだわりがあり、国産のミツロウを使っています。
近しい養蜂家の先輩友人にお願いして頂きました。ポンと渡されたわけではなくて、その方は「ただ濾したものを渡すのは行程を知らないから、まずは養蜂場へ一緒に出向いて蜜蝋を採取して自分で工夫して巣そのものをミツロウの個体にしてみれば?」なんてお題をくれました。そしてその麻袋一杯に入った蜜蝋を、お湯を沸かしながら一緒に溶かして容器へ流し込み固まったのを取って使わせて貰っています。
その方は寒い冬の間は鹿児島で蜂の数を保って、春から秋までは青森、北海道でリンゴ農家等の土地に蜂箱を置いて受粉させているみたいです。なので、その土地土地の国産のミツロウを有難いことに使っています。
なぜ、キャンドルをミツロウで作るのか?単純にミツロウキャンドルにした時のあの表面の質感が個人的にとても好きなんですよね。蜂さんが花の蜜を吸って集約した結晶には、もしかしたら木々花々の精霊もいるかもしれませんね(笑)。そんな目に見えないバックグラウンドも感じています。素晴らしい物が宿っていると信じています。
絶対ミツロウじゃなきゃダメと言うこともなく、別のものと出会いがあって惹かれたら、その時はきっとその素材で新たに作ると思います。”(さむさん談)
一般的なろうそくはパラフィンワックスという石油から作れらたものでできています。対してミツロウは天然成分100%。安心感が違いますね。
「貴重な天然ミツロウなので、硫黄島キャンドルが燃えて形が崩れたら、湯せんで違う形にしてください」とさむさんはおっしゃってました。
また、どこかのパーツが欠けたときは、ライターなどで切断面を溶かしてくっつけると良いともおっしゃってました。なるほど、修理も自分でできるとは!どこまでもサステナブルな商品です。さむさんの今後の活動にも注目です。










