ジオストーリー・ジオサイト(黒島)
ジオサイト
ジオサイトは、自然と人類の歴史のなかで重要な出来事を、科学的・ 歴史的な裏付けをもって紹介する場所です。目の前の景色をよく知ることで、実はその景色はとても複雑で美しいものである こ とがわかります。ジオサイトはそうした世界の魅力を伝える場所でもあります。
ジオストーリー
ジオサイトは島内あちこちに点在し、そこで語られる時代も様々ですが、実はそれぞれが関わり合っていることがあります。ジオストーリーは、その関わりのある点をつなげた話(ストーリー)です。ばらばらに散らばった話をつなげるので、ジオストーリーで扱う時間と空間の範囲はとても広くなります。空間は地図で表す大きさに、時間は地球の誕生から現代までの長さになります。
人は自分が体験できないことを、物語によって想像の中で体験する能力があります。人はジオストーリーによって、日常生活では体感できない巨大な私たちの世界の実相を垣間見ることができるのでないでしょうか。
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黒島は、竹島や硫黄島より古い火山島として生まれました。波の力で浸食をうけ、当時の島の内部が見えるようになりました。A火砕流や溶岩が重なってできた台地も、長い年月をかけて水の力で削られてゆきます。B削り残されたなだらかな台地が、現在では放牧地として使われています。Cその台地で育てられる牛は自生するリュウキュウチクをたべ、足腰が強く健康な牛となります。D現在では畜産は村の基幹産業となっています。

A 塩手鼻
B ナゴン谷の滝
C 赤鼻牧場
D 放牧牛
  • 1 黒尾大名神社 大里地区の宗廟として古くから先祖を祀ってきた神社。文禄4年(1598)以来の棟札がありますが、古い記録には祭神不明とされています。
  • 2 炭釜跡 炭焼き職人が炭を焼いていた窯の跡。黒島では明治以来、木炭業が盛んであり、島の収入源であった。 山中に点在するが、崩れずに残っているのは一つのみ。
  • 3 植物群落 黒島には、本土山地系の植物、トカラ列島要素の植物、南方系植物などが混在した独特の植物相を持った貴重な森林植物群落が残されており、国指定天然記念物となっている。
  • 4 イバドンの墓 片泊集落に伝わる平家伝説の遺跡。源氏方の豪族の墓で鎌倉期のもの。豪族『大庭三郎家政』通称『イバドン』は平家討伐で黒島を訪れ、出会った平家の姫を娶り、この地に留まった。
  • 5 塩手鼻 板状節理の発達した岬。東シナ海に夕陽が沈むのを見ることができる、絶景ポイント。
  • 6 ガブリ岳調査中
  • 7 菅尾大名神社 嘉永六年(1853年)には現存した片泊の宗廟。かつて祭時には社庭に集まってかがり火を灯し、酒宴を行っていた。現在では大里の神主が祭祀を行う。
  • 8 ナゴン谷調査中
  • 9 黒島平家城遺跡 大里地区にある中世城館と考えられてきた「平家城」について、鹿児島国際大学の調査で命名された遺跡のこと。
    中国との交流を表す青磁、白磁、中国陶器等の出土や、縄文時代後期と思われる資料が出土している。
  • 10 赤鼻牧場 黒島の最北端に位置する岬。